日本ホビー協会 会報誌『ホビークラフト通信』拡大版
日本ホビーショー 出展者インタビュー
一般社団法人 日本ホビー協会では、会報誌『ホビークラフト通信』Vo.6(4月1日発行)にて、「日本ホビーショー」出展者さんにインタビューを実施いたしました。
このコーナーでは、誌面の都合上、カットした部分も含めて、拡大版でご紹介します。
Creator Interview ①
ビーズ作家 北村 恵子さん

<出展ブース紹介>
出展名 | Beads Creatures (ビーズ クリーチャーズ) |
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URL | http://www012.upp.so-net.ne.jp/beadsholic/ |
出展ゾーン | ビーズ&アクセサリーWORLD ブースNo.313 |
ビーズをテグスで紡ぎ、動物を作っているクリエイターのブースです。
今年は「物語」をテーマに、動物たちの会話が聞こえてくるような展示をしようと考えています。
ワンちゃんネコちゃんはこれまでに作った約100匹を、ドッグラン&キャットタワーで遊ばせます。
壁面いっぱいに作品の写真を敷き詰めたブースは、小さくても見ごたえたっぷり!
どうぞお気軽にお立ち寄りください。
「物語」をテーマにした展示でビーズの動物たちが輝きを放つ
チワワの足を突っ張らせた立ち方、水辺に浮かぶカモのうつむき加減・・・・・・、可愛らしさだけでなく、細かなリアリティを追求する北村さんのアニマルモチーフは、小さなビーズ作品である以上、デフォルメされているはずなのに、いまにも動き出しそうな躍動感と存在感にあふれています。昨年に続き「日本ホビーショー」に出展するBeads Creatures・北村恵子さんに、日頃の活動とビーズモチーフの魅力についてお話をうかがいました。
北村さんが出展する「ビーズ&アクセサリーWORLD」とは?
さまざまな種類のビーズやアクセサリーに関する出展者が集まるゾーン。ビーズに限らず、人気のコットンパールやスワロフスキーをはじめ、様々な金属、ストーン、繊維素材によるハンドメイドアクセサリーが集まります。
- 北村さんにとっての、ビーズアクセサリーの魅力とは?
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私にとってビーズアクセサリーの最大の魅力は“輝き”です。ですので、カットの入ったクリスタルビーズを作品に使うことが多いですね。
趣味で作る方にとっても、レシピ通りに作れば作家が作ったものと同じものができて、自分なりのアレンジを加えるのも簡単なのがビーズアクセサリーの特徴です。キラキラゴージャスであり、プチオリジナルなハンドメイド。だから、プレゼントにも向いています。
その分、クリエイターにとって新しい作品を創造すること(クリエイション)と、創造した作品を作ること(プロダクション)はまったく意味が異なります。私の場合、クリエイションは苦しい時間が長いのですが、新しいカタチができたり、(動物モチーフの作品で)思い描いた以上のリアリティが表現できそうだと思った瞬間は胸が高鳴ります。
クリエイションが苦しいと、ついプロダクションのほうに逃避するのですが……、こちらは「癒し」ですね。できあがった動物と目が合って、勇気づけられたりして、「がんばらなくては!」と思います。 - 作品へのこだわりや思いを教えてください。
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作品づくりにおけるモットーは、“Real and/or Lovely”です。
作品は「リアル」か「ラブリー」のどちらかであることは絶対!できれば両方兼ね備えていたい。でも、ラブリーだけでリアリティがまったくないのでは「キャラクター」になってしまうので、私としてはNGです。
また、同じ大きさのビーズだけでひとつの作品を作れることを基本にしています。そのようにデザインすると、ビーズの大きさを変えるだけで作品自体の大きさを変えられるので、(同じレシピでも)小さいビーズで作ってバッグチャームにしたり、大きいビーズで作ってガーデングッズにしたり、利用範囲が広がります。同色同質で異なる大きさのビーズをそろえるのは困難ですが、同じ大きさならそろえるのは簡単ですし、まとまった個数で購入するほうが単価も安くなります。 - ビーズ作品を作るうえで、大変なことはありますか?
- 動物を作るときに一番苦労するポイントは、例えば「動物のおなか」など、実際の色や状態が判らない部分ですね。ネットで画像検索しても細部は見えないので、図鑑を見たり、動物園やペットショップで観察をしています。市販の動物フィギュアを参考にすることも多いのですが、フィギュアも間違っていることがあって、作品が完成したあとで気づいてあわてることも……(笑)。
- 北村さんはビーズ作品を通じて、障がい者の支援団体に協力されていますが、どのような支援なのでしょうか?
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支援団体に限らず、書籍『モチーフ・ビーズ』『Newモチーフ・ビーズセレクション』(共に永岡書店刊※絶版)に掲載した作品については、所定の覚書を交わしていただければ、製作販売を無償で許可しています。
ただ、「True Heart」というハート型の作品だけは、支援活動を行なう団体のみに制限をしているんです。上記の本を出版したあと、ある障がい福祉施設から「本を見て制作したものを販売してもよいか?」という問い合わせをいただいたことが、作品を通じての支援を考えるきっかけでした。そのときは「健常な方でも作れないくらいなのに、障がいをもつ方が作れるのだろうか?」と半信半疑だったのですが、実際に施設を訪問させていただいて非常に驚きました。むしろ技術的には私より上で、とても素晴らしくできていて……。その後、「True Heart」という作品ができて、この作品を支援のシンボルにしたいと思ったのです。
最近でも、知的障がいのお子様を持つ親御さんから「子供が(北村さんの)本を見てビーズ作品を作るようになった」とのお話をいくつか聞き、またまた驚きました(親御さんたちは作れないのに、です)。こういった形での支援もありうるということを知っていただきたいです。また、私は、動物が大好きなので、野生動物の保護でも何か貢献できることがあればと思っています。 - 今回の「日本ホビーショー」出展に向けてどんな作品(もしくはコト)を準備されていますか?
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テーマは「物語」です。動物たちの会話や、その場の情景が浮かんでくるような、そんな構図の展示をしようと考えています。同じものを見ても、涌いてくるイメージ(=物語)は人それぞれなので、みなさんの物語をお聞かせいただけると嬉しいです。
昨年、日本ホビーショーに初めて出展したときは、お母さんに手を引かれた小さなお子さんが、振り返りながら私の展示を見ている光景を何度も目にしました。そこで、今年は小さなお子さんの目線の高さに合わせて、自由に触れる大物作品を置いてみようと思います。立ち止まって触っていってくれたらうれしいですね。さらに、「ドッグラン」と「キャットタワー」に、100匹以上のワンちゃんネコちゃんを遊ばせます。
ブースの壁面は昨年同様、作品写真で埋めつくして、遠目にも作品が見えるようにする予定です(実際の作品は数センチの大きさなので、ただ展示しただけでは目立ちませんので!)。
また、今回の出展では、毎回2名、1日3~4回ぐらいのワークショップを予定しています。猫の顔がついた指輪(ネコリング)を作っていただき、生き物をハンドメイドするよろこびを体感していただけたらと思っています。 - ハンドメイドに関心のある方、来場される皆様へ、メッセージをお願い致します。
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モノを作りたい気持ちは、ヒトが生き物として持っている本能の一部。だから、その気持ちが満たされることが、「癒し」に繋がるのだと思います。来場者の方に限らず、ハンドメイドをこれから始めようと思っている方には、「これを作りたい!」と感じるものがあれば、ぜひ気軽に始めてみてほしいと思います。ホビーとしての物づくりは、好きなら上手下手は関係ないのですし、いろいろ試すうちに自分が本当に喜ぶハンドメイドに巡り合えるのではないでしょうか(私もそうやってビーズに出会いました)。
皆様が巡り合う様々なハンドメイドの、その選択枝として、これからもビーズモチーフを提供していきたいです。