日本ホビー協会 会報誌『ホビークラフト通信』拡大版
日本ホビーショー 出展者インタビュー
一般社団法人 日本ホビー協会では、会報誌『ホビークラフト通信』Vo.6(4月1日発行)にて、「日本ホビーショー」出展者さんにインタビューを実施いたしました。
このコーナーでは、誌面の都合上、カットした部分も含めて、拡大版でご紹介します。
Creator Interview ③
ニットデザイナー 岡本 啓子さん

<出展ブース紹介>
出展名 | アトリエK'sK(アトリエケーズケー) |
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URL | http://atelier-ksk.net/ |
出展ゾーン | ニットWORLD ブースNo.201 |
コンパクトで簡単に操作できる編み機、海外から集めた一点物を含むアンティークボタン、ビーズや刺しゅうのテープ、アトリエK'sK取り扱いのイタリヤ糸などの販売をします。また、上記を使用した各種作品のワークショップを開催します。
「knit+1」でトレンド提案も。
1本の糸で紡ぐゴージャスな世界
流行に合ったファッション性の高いデザインでありながら、着る人の体と個性に合ったオンリーワンの作品を生み出す岡本啓子さん。その自由なクリエイションを支えるのは、徹底した基礎と経験。独自の「トレンド製図」をはじめ、岡本さんの指導する教室には多くのプロのファッションデザイナーも、そのエッセンスを学ぶべく参加しています。その活動についてお話をうかがいました。
岡本啓子さんが出展する「ニットWORLD」とは?
編み物や毛糸など、ニットに関する出展者が集まるニットWORLDでは、アトリエK'sKのほか、さまざまな手芸商材メーカーなども出展。さまざまな質感やカラー、異素材との組み合わせによる斬新な毛糸が展示され、クリエイションの可能性が広がります。
- アトリエK'sKでは、どんな活動をされていますか?
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アトリエK'sKは約30年前に編物教室からスタートし、現在では神戸市を拠点に置き、ハンドメイドのあらゆる分野で、手づくりの楽しさを発信し続けています。
また、メーカーや出版社へのデザイン・作品の提供のほか、全国スケールでのニット教室の運営を行ない、各地で講習会への講師派遣やワークショップの開催を行なうほか、WEBでのオリジナル糸やキット、グッズの販売や、大阪・阪急百貨店うめだ本店でも「アトリエK'sK」のアンテナショップを出店しています。 - 岡本さんの考えるニットの魅力とは?
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もともと私は神戸育ちで、母が編み物を教えていたこともあり、子供の頃から糸や布はいつもまわりにあって、はぎれや残り糸をよく集めていました。服が大好きで、染色や手紡ぎ、機織りなどさまざまなハンドメイドをしてきました。
布は切ってしまうとおしまいですが、糸は自分の思い描くものを自由に編んでいける。それがニットの最大の魅力であり、ニットの道を選んだ理由です。ニットは一本の糸から無限の世界を広げることができ、その人の個性を最大限に発揮できます。
- 教室にはアパレルメーカーのデザイナーやパタンナーの方も学びにいらっしゃるそうですが、岡本さんはどのような作品づくりをされていますか?
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私自身はつねにトレンドを意識する一方で、着る人に合った個性を大切にしてデザインをしています。アーティストとしての受けをねらった、実際に着られないような作品は作りません。おばあちゃんからお子さんまで、 幅広い年代の方に愛着をもって着ていただける“オシャレ”な作品づくりを心がけています。
教室では、しっかりとした基礎知識を駆使し、ワンランク上のセンスある作品指導を行なっています。ベースとなるのは「編」「縫」「織」「繍」「紡」の壁を越えた自由な発想による作品づくり「knit+1」という考え方です。
学びに来られたプロの方々は、私の作品を本で見たり、売場で飾ってある作品を手に取ったり、さまざまなきっかけでいらっしゃいますが、色使いやフォルム に独特の世界を感じているのだと思います。シンプルだけどスパイスが効いていて、思わず着たくなる。プロだからこそ違いがわかっていただけるということであれば、それはデザイナー冥利に尽きます。大勢のデザイナーの作品が載っている作品集でも「岡本さんの作品は必ずわかります」と言っていただくこともあり、没個性でないところも評価されているのではないでしょうか。 - さらに、製図展開の教室も開いていますね。
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今、編み物を教えていらっしゃる方でさえ、きちんと製図を描けない方はいます。しかし、設計図なしで家は建たないと思うのです。基本中の基本であるにも関わらず、製図が出来ない方が多い現状を見て、教室での「製図コース」を思い立ちました。流行を取り入れたおしゃれな服を念頭に置いて製図するため、「トレンド製図」と呼んでいます。
私自身、今でも1日に50枚も製図を描くことがあり、きちんと製図を描くことで相手をひと目見れば、採寸をしなくてもほぼその方の寸法がわかるようになりました。編み物は「植木算」などの計算があったり、曲線、図形で数字を割り出したり……意外と数学の世界だったりします。計算によって「これだけの糸でどれだけのものが編めるか?」などもわかります。そうした確かな知識を一人でも多くの人に知っていただけるよう、ヴォ-グ学園の横浜、名古屋、心斎橋、福岡天神、札幌の5校で指導をしており、本格的にプロを目指す人から好評をいただいています。
- 今回の「日本ホビーショー」ではどんなワークショップを開催予定ですか?
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アトリエK'sKで取り扱っている編み機やアンティークボタン、ビーズや刺しゅうのテープ、糸などを使った各種作品のワークショップを開催します。注目のワークショップ作品はアンティークボタンと皮革、ニットを使用した「コラボ・ネックレス」です。ほかにはない“私だけ”のアクセサリーを作れますよ。
- 今年の出展への意気込みをお願いします!
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ステージでのファッションショーも含め、9回目となる日本ホビーショーへの出展ですが、今回、さらに大きな成果を上げられるのではないかとワクワクしています。というのも、40回記念の日本ホビーショーのテーマが「ハンドメイドはゴージャス」と聞いたからです。
それこそ、私たちアトリエK'sKが目指してきたことと、まったく同じだからです。今の時代、時間とお金をかけてオンリーワンの作品づくりを楽しめるハンドメイドは、もっともリッチな趣味だろうと思っています。
今回のテーマは、まさにそれを具現化したものであり、ようやくクリエイターに活躍の場がやってきたのだと喜んでいます。ワークショップのセンスあふれる作品、世界から集めたオリジナルの糸、さらに新しい作品展開で新しいトレンドを提案する機械編みなど、バラエティ豊かなブースを作ります。心豊かに楽しんでいただけることと確信しています!